8.14.2009

2007年の展示「民衆を導く自由の女神」

前回(一昨年)の展示で僕は、ロマン主義の旗手として名高いドラクロワの名画「民衆を導く自由の女神」の一部を、
不要になった新聞チラシや街頭で配っているフライヤーなどを使って制作しました。

なぜ今ドラクロワ?っていうのには多少の思い入れがありまして、
当時の僕は「こんなの描いてみたけど、どうよ!?」的芸術を見飽きていました。
具体的に言うと、現代アートが得意とする
「この絵をどういう風に解釈したらいいかあなたにわかりますか?
 これだって芸術なんですよ、ちなみに私にはもちろんわかりますけどね」

みたいな空気作りにうんざりしていました。
そこで、僕は、
「専門的な知識を持つ人」あるいは「美的センスみたいなものを有する人」にだけ共感されるものではなく
「ある程度、どんな人が見てもスゴいもの」
が作りたかった。
とりわけロマン主義の時代は、それを目指していた人が多くて
それが画面を通じて、「熱さ」みたいなものとして伝わってくるような気が、僕はしていたのです。


まぁ能書は程々にしておいて、制作過程を振り返ってみました。

とにかく、色んな色のチラシが必要でした。
パソコンの画面に原画を映して、それを参考に鉛筆で下書きして、
色を見ながら切り貼りしていきます。


たとえば、赤いチラシを貼っても、隣に黄色い部分を作ることで、
遠くから見ると肌の色に見えたりします。
ときどき、少し離れてチェックしたりしながら作っていきました。


ハイライトは真っ白に近いものを、
影になっている部分は黒っぽいものを。
同じチラシでも使える部分はごく限られてきます。


実を言うと、この辺りまで制作した時点で、
「あ、これは間に合わへんな」と気付いていました。
チラシのバリエーションを確保することと、下書きと、貼っていく作業、
すべての工程を段階を踏まずに、ほぼ同時進行でやっていたので、
予想以上に時間がかかってしまったのでした。


発表時の大きさは、
横約170cm×縦約100cmぐらいでした。
半紙を利用しているので、作品の裏側に光源を置いて展示しました。

なんと、展示時の画像を僕は持っていないので、
展示の雰囲気は田畑氏のブログが詳しいです。
http://01103284.seesaa.net/article/70681509.html

展示ではたくさんの人にご覧頂けたわけですが、
展示室の手前の廊下に、その前の作品「モナリザ」を飾ったので、
そっちの反響のほうが大きかったような記憶があります。
一日の大半を制作に捧げる日々が2ヶ月程続いたのですが、
作業が複雑過ぎて、制作過程では「モナリザ」を作っているときのほうが楽しかった。

ともあれ、この世には色んな色柄の紙が散らばっているものです。
うまく切って集めて貼っていけば、名画にもなるし、
あるいはただただ鬱陶しい色合いのゴミにもなるわけです。
次回は、「モナリザ」の制作を振り返りたいと思います。

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